IT導入補助金とは?制度の概要や申請の注意点をわかりやすく解説

世の中のIT化が進む中、企業の受発注業務や会計業務でも、仕事をデジタル化し効率をあげるITツールの導入が進んでいます。

たとえば売上を適切に管理するためのPOSレジ導入や、インボイス制度に対応するための会計ソフトの導入など、経営者が抱える課題は多いです。

このような中小企業・小規模事業者のITツール導入資金を補助する制度が、IT導入補助金です。
今回はIT補助金の概要や導入事例、さらに申請するときの注意点について、詳しく解説します。

IT導入補助金とは

IT導入補助金は、業務効率化やDXのために、中小企業・小規模事業者のITツール導入を支援する制度です。

DXは「デジタルトランスフォーメーション」の略称で、デジタル技術の活用により業務プロセスを改善し、企業の競争力を高めること。IT化の進んだ現代では、DXは企業が生き残るために不可欠です。

補助金の対象となる主なITツールは、以下のとおりです。

  • 会計ソフトや受発注ソフトなどの各種システム
  • POSレジ(モバイル含む)
  • パソコン・タブレット・スキャナーなどのハードウェア

ただしソフトウェアやサービスなどのITツールは、すべてが対象となるわけではなく、事前に事務局の審査を受けて登録されたツール限定です。

補助金は希望者が自由に申請するのではなく、事務局に登録された「IT導入支援事業者」と協力して申請する必要があるため、注意してください。

IT導入補助金2024「IT導入補助金とは」

IT導入補助金の5つの補助対象

IT導入補助金には、次の5つの補助対象があります。

  1. 通常枠
  2. インボイス枠(インボイス対応類型)
  3. インボイス枠(電子取引類型)
  4. セキュリティ対策推進枠
  5. 複数社連携IT導入枠

補助金申請者は、それぞれの内容を理解し、事業に必要な補助対象へ申請します。補助対象について、詳しく見ていきましょう。

通常枠

通常枠とは、中小企業や小規模事業者の業務効率化や売上アップのために、ソフトウェアやシステムといったITツールの導入にかかった費用の一部を支援するものです。

【補助額・補助率】

補助率補助額
1/2以内1プロセス以上:5万円以上150万円未満 4プロセス以上:150万円以上450万円以下

【補助対象】

ソフトウェアソフトウェア購入費クラウド利用料(最大2年分)
導入関連費
(オプション)
機能拡張費用データ連携ツールの導入費用セキュリティ対策の実施費用
導入関連費
(役務の提供)
導入コンサルティング費用導入設定・マニュアル作成・導入研修費用保守サポートに係る費用

ソフトウェアやツールの購入費用だけでなく、最大2年分のクラウド利用料や保守サポートも対象になるため、ぜひ積極的に活用しましょう。

インボイス枠(インボイス対応類型)

中小企業・小規模事業者等の補助対象者が、インボイス制度に向けて導入した「会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト」にかかった経費の一部を補助するのが、インボイス枠(インボイス対応類型)です。

また企業間取引のデジタル化推進に欠かせない、スキャナーや複合機などの機器類も、補助の対象になります。

【補助額・補助率】
<インボイス制度対応の会計・受発注・決済ソフト>

補助率補助額
3/4以内、4/5以内50万円以下
2/3以内50万円超~350万円以下

<PC・ハードウェアなど>

補助対象補助率補助額
PC・タブレット等1/2以内10万円以下
レジ・券売機等1/2以内20万円以下

パソコンやスキャナなどのハードウェアを補助対象にする場合は、ソフトウェアと合わせて導入しなければなりません。

またハードウェアもIT導入支援事業者から購入する必要がありますので、注意してください。

【補助対象】※ソフトウェアは必須

ソフトウェア ※必須「会計」・「受発注」・「決済」の機能を有する、
インボイス制度対応のソフトウェア
オプション拡張機能データ連携ツールセキュリティ
役務導入コンサルティング導入設定/マニュアル作成/導入研修保守サポート
ハードウェアPC/タブレット/プリンター/スキャナ/複合機/POSレジ モバイルPOSレジ/券売機

※ハードウェア単体での申請は不可

インボイス枠(電子取引類型)

インボイス枠(電子取引類型)は、発注者がインボイス制度に対応した受発注システムを導入し、受注者に無償でアカウントを供与するときに、導入費用の一部を支援するものです。

【補助額・補助率】
<インボイス制度に対応した受発注システムが対象>

補助率補助額
中小企業・小規模事業者等:2/3以内その他事業者等:1/2以内(下限なし)~350万円以下

【補助対象】

受発注ソフト発注側の事業者として、インボイス制度に対応したITツールを導入するものが、受注側の事業者に対してアカウントを無償発行し、利用させるためのクラウド型のソフトウェアクラウド利用料(最大2年分)

補助率は申請者が中小企業・小規模事業者等か、その他事業者等であるかで大きく変わるため、注意してください。

セキュリティ対策推進枠

セキュリティ対策推進枠は、パスワード漏洩や不正アクセス、フィッシングといったサイバー攻撃に対するセキュリティ対策の推進を支援するものです。

対象となるのは「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に事前に登録されたサービスで、ITツールのメインとして申請した場合に適用されます。

【補助額・補助率】

補助額補助率
1/2以内5万円以上100万円以下

【補助対象】

サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」掲載のサービスITツールの導入費用サービス利用料(最大2年分)

複数社連携IT導入枠

複数社連携IT導入枠は、複数の中小企業・小規模事業者が、地域のDXを実現させるためといった理由で連携し、活動するのを支援するものです。

補助対象者は、商工会議所や事業協同組合などの、商工団体。

複数社連携IT導入枠は申請フローをはじめ、交付決定後の手続きも大きく異なりますので、詳しくはこちらの公式サイトから詳細をご確認ください。

IT導入補助金の申請スケジュール

IT導入補助金の交付申請後の流れは、以下の通りです。

IT補助金2024「新規申請・手続きフロー

IT導入補助金の申請スケジュールは、各導入枠によってそれぞれ日程が異なります。
通常枠の日程を参考に、全体のスケジュール感を見ていきましょう。

通常枠は現在1次締切分~3次締切分まで日程が公表されており、それぞれ以下のようになっています。

1次締切分:2024年3月15日(金)17:00 締切
2次締切分:2024年4月15日(月)17:00 締切
3次締切分:2024年5月20日(月)17:00 締切

1次締切で見ると、3月15日に締切後、交付決定日は4月24日を予定されています。事業の実施期間は、交付決定から2024年10月31日(木)17:00までとなっており、この日時は事業実績報告の期限と共通です。

事業実績報告後に補助金の交付手続きが行われるため、申し込みから補助金の交付までには、7ヶ月以上かかることもあります。

IT導入補助金申請の注意点

IT導入補助金を申請するときの注意点は、次の2つです。

「みらでじ経営チェック」を実施する
IT事業支援事業者と共同で交付申請する

それぞれ解説します。

「みらデジ経営チェック」を実施する

IT導入補助金申請を申請するには、中央企業庁が運営する「みらデジポータルサイト」でのみらデジ経営チェック」が必要です。
みらデジとは、自社と同業種・同地域の事業者を比較して、自社の経営課題やデジタル化への取り組み状況を把握するためのツールです。

特に通常枠の申請は、みらデジ経営チェックの実施が必要要件になっているため、注意してください。

またみらデジ経営チェックを受けるには、「GビズIDプライム」アカウント」の取得が必要です。GビズIDプライムアカウントIDの発行には2週間ほどかかるため、取得していない方は早めに申請してください。

IT事業支援事業者と共同で交付申請する

IT導入補助金の申請は、事務局に登録されたIT事業支援事業者と共同で交付申請をします。

IT事業支援事業者を通さずに個人で購入したツールは、補助の対象になりません。

ITツールやIT導入支援事業者の検索は、こちらから行ってください。

IT導入補助金でパソコンは購入できる?

IT導入補助金でよくあるのが、「IT導入補助金を使ってパソコンは購入できるのか?」という質問です。

インボイス枠(インボイス対応類型)では、パソコンなどのハードウェアも対象になっています。

この場合、中小企業・小規模事業者等がパソコンだけでなく、インボイス制度に対応するための会計ソフトなどのソフトウェアと同時に購入するなら補助金を申請できます。

なおパソコンやソフトウェアの購入は、必ずIT事業支援事業者から購入してください。

IT導入補助金の申請は大分みらい信用金庫へご相談ください

IT導入補助金は、業務を効率化させ売上をアップさせるのに欠かせないITツールの導入を支援してくれます。IT化やDXの進む今、企業を成長させ安定的な経営を続けるには、ITツールの導入が不可欠です。

ITツールの導入で業務の効率化を図りたい中小企業の経営者、小規模事業者の方はぜひ大分みらい信用金庫へご相談ください。

経営に関わるパートナーとして、みなさまの経営課題の抽出から実際の申請に関わることまで、親身にサポートいたします。

以下のエリア内でご相談を承っています。ぜひ一度ご相談ください。

【対応エリア】
別府市、大分市、由布市、杵築市、中津市、宇佐市、豊後高田市、速見郡

※信用金庫は地域密着型の金融機関のため、補助金・助成金のご相談をお受けできるエリアが限られております。ご了承ください。

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