教育・学資ローンとは?活用法や審査・金利・国と銀行の教育ローンの基礎知識

子どもの学費は大きな支出となりますが、できるだけ本人の希望を叶えてあげたいと思うのが親心。

「日々の生活に手いっぱいで貯蓄がゼロ」

「将来の進学費用が払えるだろうか・・・」

そんな悩みをお持ちの方の不安を和らげられるよう、今回の記事では教育ローンについて解説します。

教育ローンとは

教育ローンとは、子どもの教育資金を調達するための借入のこと。教育にかかる家計の負担を軽減し、子どもの学びを応援してくれる心強いサービスです。

教育ローンには、国からの借入と、銀行・信用金庫などの金融機関からの借入という2パターンがあります。申し込み条件や金利、借入金額などに違いがあるので、比較検討して、各家庭の条件にマッチするほうを選ばなければなりません。

ここでは、国と金融機関の教育ローンの違いを見ていきましょう。奨学金との違いについても解説します。

国と金融機関の教育ローンの違い

国の教育ローン金融機関の教育ローン
条件世帯年収790万円以内 ※子ども+1人で100万円増前年度の年収が 一定額以上であること
金利低め高め ​​※キャンペーンを利用した場合は国の教育ローンを下回るケースも有り
借入限度額350万円 ※条件に該当すれば450万円300~1,000万円程度 ※金融機関によって異なる

国と金融機関の教育ローンにおける最大の違いは申し込み条件です。公的な制度である国の教育ローンは、世帯年収に上限額が定められています。そのため、共働きの家庭では利用しにくいこともあるのが特徴です。

逆に金融機関の教育ローンでは、返済能力を見極めるために一定額以上の年収があるかどうかを審査されます。

金利の面から見てみると、国の教育ローンのほうが低金利で借りられます。しかし、借入金額は特別な場合を除いて350万円が上限です。

金融機関の教育ローンでは、国に比べて金利は高くなりますが、最高1,000万円程度まで借入が可能なところもあります。

奨学金と金融機関の教育ローンの違い

奨学金と金融機関の教育ローンの違いは、返済義務が誰にあるかという点です。奨学金の場合は、学生本人が借りて返済することになります。それに対して金融機関の教育ローンは、保護者が申し込みをして保護者が返済するものです。

また、奨学金は申し込み時に学業成績の審査が行われるのが特徴です。奨学金は、一定以上の成績を収めていないと申請が認められませんが、金融機関の教育ローンでは子どもの成績は一切問われません。

さらに、奨学金は一般的に申し込みや受け取り時期が決まっています。奨学金の申し込みは大きく分けて、在学中の「予約採用」と在学後の「在学採用」の2つがあり、奨学金の受け取りは入学後です。

一方、金融機関の教育ローンはいつでも申し込み可能。進学の準備金として入学前に受け取ることもできます。

子どもの一生にかかる費用はおおよそ800~2,300万円

子どもの一生にかかる学費を文部科学省のデータを基に試算してみました。

幼稚園から大学まで進学した場合、それぞれの段階で公立を選ぶか、私立を選ぶかによって、学費の総額に大きな違いが生まれます。

高校まで公立→私立大学すべて公立すべて私立
幼稚園約 47万円約92万円
小学校約211万円約1,000万円
中学校約162万円約430万円
高校約154万円約316万円
大学約469万円約243万円約469万円
合計約1,043万円約817万円約2,307万円

参考元:
・文部科学省令和3年度学習費調査 表2.「学校種別・公立私立別学習費総額合計の推移」
https://www.mext.go.jp/content/20221220-mxt_chousa01-000026656_1a.pdf

・私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1412031_00004.htm

・国公私立大学の授業料等の推移
https://www.mext.go.jp/content/20211224-mxt_sigakujo-000019681_4.pdf

上記の表のとおり、「高校までは公立で、私立大学に通った場合」の学費は約1,043万円です。「幼稚園から大学まですべて公立に通った場合」の学費は約817万円。「幼稚園から大学まですべて私立に通った場合」の学費は約2,307万円となりました。

大学でどの学部を選択するかによって費用が異なりますが、子どもの一生の学費には最低でも約800万円が必要になると認識しておきましょう。

また、すべて公立に通った場合と、すべて私立に通った場合とでは、約3倍の差が生まれることが分かります。

教育ローンの金利について

国の教育ローンの金利

国の教育ローンは、日本政策金融金庫から貸付されます。返済が終わるまで金利が一定である「固定金利」になっており、2023年3月時点の金利は年1.95%です。

特例として、ひとり親家庭(母子/父子家庭)や交通遺児家庭、子どもが3人以上の一部世帯、世帯年収が200万円以内の家庭には優遇制度が適用されます。年1.55%の低金利で借入することが可能です。

金融機関(銀行、信用金庫)の教育ローンの金利

金融機関の教育ローンの金利は、各銀行・信用金庫で個別に決められています。

国の教育ローンに比べると高金利に設定されていることが多い傾向にありました。しかし最近では、進学時期に合わせた低金利のキャンペーンや、取引実績による優遇金利適用などもあり、最終的な金利は国の教育ローンを下回るケースがあります。しっかりチェックしましょう

景気動向により変動する「変動金利」と「固定金利」がありますが、一方しか取り扱わない金融機関もあれば、どちらかを選べる金融機関もあります。

教育ローンのメリット

子どもに学費の負担をかけずに済む

教育ローンのメリットのひとつは、保護者が返済義務を担うので子どもに負担をかけずに済む点です。

奨学金は学生本人が借入を行い、卒業後に自分で返済を行います。就職が決まらなくても返済しなくてはならなかったり、就職後の給料が低い時期から長期間の返済に追われたりするため、経済的負担を大きく感じることがあるのが問題点です。

入学前にまとまった金額が振り込まれる

教育ローンは入学前にまとまった金額を受け取れるので、入学金や一人暮らしに必要な物の準備、入居するアパートの敷金・礼金などに使うことが可能です。

※ただし、一人暮らしに必要な物の準備には対象となるものとならないものがあります。就学にかかる付帯費用最長1年分と使途を限定される場合がある点に注意が必要です。

奨学金は入学後に支払われるため、入学前の資金としては活用できません。入学金や授業料として初年度に納入するためのお金を準備することができない場合は、教育ローンの利用を検討しましょう。

利用目的・申し込み時期などの自由度が高い

教育ローンは、利用目的や申し込み時期の設定が比較的自由である点もポイント。入学金や授業料のほかに、受験費用や交通費、受験のための教材費なども、教育ローンの使い道として認められている場合が多く、奨学金よりも幅広い目的で利用できます。

また、時期を問わずいつでも申し込みが可能で、審査に有する期間は数日~10日程度。納入時期が迫っていても、スピーディーにお金を受け取ることができます。

教育ローンの活用範囲

教育ローンの活用方法について、代表的なものをご紹介しましょう。

ただし、活用範囲の設定は利用する金融機関や商品によって異なりますので、利用前に詳細を確認してください。

入学金、授業料、施設設備費、教科書など

入学金や授業料、施設設備費など、入学前にまとめて必要となる資金に活用できます。もちろん、教科書や学用品、制服など、進学に伴って必要となる物品の購入にも充当可能です。

受験にかかった費用(受験料、受験時の交通費・宿泊費など)

大学等の受験料や、受験に伴って発生した交通費・宿泊費にも活用できます。

日本政策金融公庫の「令和3年度教育費負担の実態調査結果」によると、1人あたりの受験費用の平均額は、公立大学で約27万円、私立大学で約32万円です。

在学中の費用(家賃、交通費、入学・卒業に伴う引越費)

在学中のアパート・マンションの家賃や学生寮の寮費、学校までの交通費や定期券代にも活用できます。また、入学や卒業のための引越費用に充てることも可能です。

教育ローンの相談は金融機関へ

教育ローンのご相談は金融機関へお気軽に。

大分みらい信用金庫は、学びに必要な資金について幅広いニーズで対応し、お子さまの未来をしっかりサポートします。

※当金庫営業エリア外のお客様からのご相談は承れませんのでご注意ください。

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